XMLコンテンツの作り方 第2版 追加と訂正 ● このファイルは何か?  「XMLコンテンツの作り方」をお買いあげ下さりありがとうございます。  Internetの世界はDOG YEARと言われ、非常に素早いテンポで時間が経過してい ます。そのため、「XMLコンテンツの作り方」の初版が出版されてから、いろい ろと状況が変化したところがあります。  それらの情報を、最新情報ファイルという形で、用意させていただきました。 ● Internet Explorerのバージョンについて  本書収録サンプルは以下のWindowsバージョンのInternet Explorerで動作する ことを確認しています。 Internet Explorer 4.01SP1 Internet Explorer 5.0  バージョン5.0が既にインストールされている場合でも、無理に4.01SP1をイン ストールする必用はありません。 ● 訂正と追加説明 39ページ 『2.2スタイルシートについて』 --------------------------------------  XSLは、1999年9月30日現在、まだ正式に勧告(recommend)されていません。  従って、まだ正式には利用できません。  しかしながら、以下の動きがありました。 ・ 仕様が3つに分かれた  かつてXSLと呼ばれたものは、XSL, XSLT, XPathの3つの仕様に分割されていま す。  XSLは、純粋に書式を指定する機能だけを含む仕様となり、周辺の機能は、別 の名前の別仕様として分離独立しました。  XSLTは、XSLの変換言語としての機能だけを取り出したものです。XSLTは、本 来、XMLからXSLへの変換ルールを書くためのものですが、その他に、XMLから HTMLへの変換ルールを書くことができます。そのため、XSLTを用いて、XMLから HTMLへの変換ができます。HTMLには、CSSを含んでいても問題ないので、XMLから、 HTML+CSSへ変換して、表示や印刷に用いることができます。  XPathは、XML文書中の特定の場所を指し示す書式がXPointerとXSLで共通性が あるということで、分離独立して共通化されつつあるものです。 ・ Internet Explorer 5.0にXSLTプロセッサが搭載された  Internet Explorer 5.0には、XSLTプロセッサが搭載されています。(Internet Explorer 5.0リリース時には、まだXSLからXSLTが分離していなかったので、関 連資料にはXSLTではなくXSLと書かれています。しかし、実際はXSLTプロセッサ です)  そのため、Internet Explorer 5.0を用いると、XML文書にXSLTスクリプトを添 えることで、HTML+CSSに変換して、表示や印刷が可能になります。  なお、XSLTスクリプトの無いXML文書を読み込ませると、ツリー表示されます。  残念ながら、このXSLTプロセッサは、古い仕様書をベースにしているため、最 新の仕様書とは仕様が異なる点があります。しかし、スタイルシートを用いた XML文書の表示が、不可能から可能になったと言う点で、XML史上画期的です。 42ページ 6行目 『JavaScriptという言語を知っているかい?』 ----------------------------------------------------------  JavaScriptではなく、VBS(Visual Basic Script)の利用も増えています。その 一因としては、XML対応がInternet Explorerのみで進み、ライバル他社ブラウザ はバージョンアップが滞っていることが挙げられます。VBSは基本的にInternet Explorerでしか利用できない言語ですが、XML対応ブラウザがInternet Explorer しか存在しない以上、それが問題になることは(今のところ)ありません。  JavaScriptと、VBSのどちらが良いかという点については諸説あり、一概には 結論が出せません。  もし、あなたが「JavaScriptは分からないがVBSなら分かる」という場合は、 VBSでやってみるのも手段の一つです。 51ページ 最後の行 『shift_jisという部分』 -------------------------------------------  本書第1版出版後の研究の進展により、shift_jisの利用は危険が大きいという ことが判明しています。  その詳細は、JISより『標準情報(TR) TR X 0015:1999 XML 日本語プロファイ ル』として出版されています。WWWが閲覧可能なら以下で見ることができます。 http://www.fxis.co.jp/DMS/sgml/xml/tr_xml_jpf/toc.htm  この文書では、UTF-16(いわゆるUnicode)またはUTF-8を利用することが望まし いとされています。しかし、Windows 95/98付属のメモ帳や、多くのテキストエ ディタなどでは、UTF-16やUTF-8を扱うことができません。  学習のために非公開でXMLを扱う場合は、shift_jisを用いても構いませんが、 不特定多数に公開する場合は、UTF-16やUTF-8を扱うことのできるソフトを入手 して、これを用いることが望ましいとされています。  また、WWWサーバで公開する場合は、XML宣言ではなく、WWWサーバからcharset パラメタで指定すべきと言われています。この件に関する詳細は以下を参照下さ い。 http://www.fxis.co.jp/DMS/sgml/html_correct_charset.html  なお、UTF-16やUTF-8を扱える主要なソフトを以下に紹介します。 ・ Windows NT付属のメモ帳  リトルエンディアンのUTF-16を読み書きできる ・ Word 2000  テキストファイルとしてリトルエンディアンのUTF-16を読み書きできる ・ ToolManエディタ  前寺正彦氏が開発したシェアウェアのテキストエディタ。  http://hp.vector.co.jp/authors/VA002891/indexj.htm  UTF-16, UTF-8を自由に扱える。 51ページ 図3.6 『encoding="shift_jis"』 -----------------------------------------  前述の理由により、shift_jisの利用は望ましくありません。  UTF-16またはUTF-8を利用する場合は、encoding="〜"の記述は取り去ってしま っても問題ありません。その場合のXML宣言は、  となります。 53ページ 最初の行 『METAタグというのは……一種だからね』 ----------------------------------------------------------  これは筆者の勘違いでした。正しくは以下のようになります。 『METAタグというのは、本来はWWWサーバからブラウザに、HTML文書を送るのに 先立って送るはずの情報を、HTML文書の一部として送るものだからね。それをブ ラウザが正しく解釈するという保証は、本来は無いものなんだ。』  余談を付け加えるなら、WWWサーバによっては、METAタグの内容を、HTML文書 の送信に先だって送信するものもあるそうです。 55ページ 7行目 『文書全体を示すタグ』 ---------------------------------------  余談ですが、文書全体を示すタグは、ルート要素と呼ばれます。  更に余談ですが、一般にタグと呼ばれているものは、本来『要素(element)』 と呼ばれるものです。本書では、意識的に誤用しています。しかし、後述のDOM の仕様などを読む場合、要素(element)という言葉を意識しないと理解できない ケースがあります。覚えておいて損はないでしょう。 55ページ 下から3行目 『現状では……思うよ。』 -----------------------------------------------  前述の通り、Internet Explorer 5.0を使う場合、XSLTを用いて、XMLからHTML (+CSS)に変換して、表示させることができます。 58ページ 下から2行目 『理屈の上ではね』 -----------------------------------------  実際に、ひらがなや漢字をタグ名に使ったXML文書が日常的に作られています。 理屈だけではなく、実際に、それは可能です。  名前に使用できる文字の一覧表は、前述のXML日本語プロファイルに含まれて います。 59ページ 7行目 『どっちが入力が楽かな?』 ------------------------------------------  実は、無理に英語でタグ名を付けようとしたシステムよりも、日本語で分かり やすいタグ名を付けたシステムの方が成功する確率が高いという経験則があるよ うです。  必ずしも入力の手間だけが絶対的な条件ではないようです。 62ページ 11行目 『強引にHTMLと騙して……』 --------------------------------------------  HTMLの後継となるXHTMLという言語が仕様制定の作業中です。  XHTMLは、HTMLをXMLベースに書き換えたものですが、HTMLしか理解しないブラ ウザでも読める文書を書くために、XML文書でありかつHTMLとしても解釈できる 書き方を規定しています。 62ページ 下から7行目 『今あるソフトで実現できないと……』 -----------------------------------------------------------  前述のように、Internet Exolorer 5.0で、XSLTを使って表示させるという手 段もあります。 65ページ 8行目 『JavaScript』 -------------------------------  前述のように、JavaScriptではなく、VBSでもできます。 72ページ 下から3行目 『無理にUTF-8で文書を書く必要はない』 ------------------------------------------------------------  UTF-8には問題もありますが、shift_jisよりは安全ですので、前述のXML日本 語プロファイルに従って、UTF-8(またはUTF-16)の利用の方をお勧めします。 74ページ コラム 『ベクトル方式の画像記述言語PGML』 ----------------------------------------------------  PGMLの発表後に、それに対抗する形で、マイクロソフトなどが対抗言語として VMLを発表しました。しかし、無用な対立は好ましくないので、両者が歩み寄っ て、SVGと呼ばれる画像言語の制定作業が進行中です。  詳しくは、W3CのWebサイトを見て下さい。  ちなみに、VMLはInternet Explorer 5.0でサポートされているので、実際に試 してみることができます。 81ページ 下から2行目 『英語表記にしてみよう』 -----------------------------------------------  余談ですが、日本語表記のまま使っても問題ありません。 93ページ 14行目 『XMLパーサは』 ---------------------------------  Internet Explorer 5.0には、二つのXMLパーサが含まれています。一つは、本 書で使用しているInternet Explorer 4.0互換のもの。もう一つは、Internet Explorer 4.0のリリース後に決まったW3Cの標準を取り込んだものです。後者は、 DOM(Document Object Model)に対応している他、DTDによる文書妥当性の検証機 能も持っています。後者のXMLパーサを利用する場合は、スクリプトから呼び出 す手順や、メソッドなどの仕様の詳細が変わってきますので、ご注意下さい。詳 しくは、マイクロソフトのWebサイトのXML関連ページなどをご覧下さい。 110ページ 12行目 『タグで』 -----------------------------------  これは筆者の勘違いで、タグよりも、タグを使う方がより適切の ようす。  タグとは、文字をグループ化するタグです。 111ページ 下から6行目 『なぜタグ……』 ----------------------------------------------  前述のように、タグの方が、より適切です。 124ページ 3行目 『 』 ----------------------------   という記述はXML的には間違いです。XMLで宣言無しに利用できる実体(&. .;)は<、>、&、'、"に限られます。  空白文字が取り除かれてしまうという仕様は、むしろ、XMLパーサ(Internet Explorer 4.0版)が、正式に勧告(recommend)になる前に作られたという時代背景 によるものでしょう。XMLの勧告版では、空白が保存される方法と、正規化され る方法の2種類が書かれています。  他のXMLパーサを使うようにスクリプトを手直しする場合は、  を 全角空白に置き換えることと、改行など不要な空白を読み飛ばす処理を付け加え る必用があります。また全角空白は空白として扱われないことが明らかなので、 空白を正規化するモードを選択するという方法もあります。 130ページ 下から5行目 『XML Cafe』 ------------------------------------  URLが変更になっています。 旧:http://www.fxis.co.jp/DMS/sgml/xml/index.html 新:http://www.fxis.co.jp/DMS/sgml/index.html 131ページ 上から2行目 『オータムさんは……』 ----------------------------------------------  本書の第1版出版後に、筆者は、永井稔氏と共に、日本XMLユーザーグループ (JXMLUG=Japan XML User Group)を結成しました。  URLは以下の通りです。 http://www.xml.gr.jp/  本書を読んで、XMLにより大きな興味を持った人は、ぜひ、JXMLUGの主催する メーリングリストに参加して下さい。  本書の読者層には、特に、XML デザイナー メーリングリストがお勧めです。 http://www2.xml.gr.jp/1ml_main.html?MLID=xmldesign おわり (1999年9月30日)