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皇国の守護者 佐藤大輔


最終更新: Mon Sep 12 15:30:03 2011


 ここは、川俣から見てお勧め(カモ知れない)本を紹介するコーナーです。


どんな本なのか

 龍が存在する架空のファンタジー世界で起こる戦争物語の小説です。強大な「帝国」が,小さな「皇国」への侵攻を開始して,次々と国土を奪われていく。その矢面に立たされる現場指揮官が主人公です。

 2001年5月現在,5巻まで発行されています。

なぜイイのか

 そりゃもう,圧倒的な大軍が押し寄せてきて国家が滅亡するという危機的状況に,何も分かってない無能な偉い人の下で戦わされる苦悩が良いのです。ファンタジーであることや,戦争が題材であることは,重要ではありません。そうではなく,上層部の支援もろくに受けられない状況で,現場指揮官の努力でどうやって危機的状況を解決するのか,という,どこの組織にもあるような状況が,生き生きと生々しく描かれているのが良いのです。

 佐藤大輔という作家は「架空戦記作家」と世間から目されているようですが私に言わせれば,それじゃ無敵の戦艦大和でバッタバッタと敵をなぎ倒し……という荒唐無稽な作家連中の仲間になってしまうのて適切な評価ではないと思います。戦艦大和や零戦のような人気アイテム抜きで,それどころか,戦争という状況抜きですら,実に奥深く素晴らしい本を書ける作家です。まあ,この作品では戦争という状況を舞台としていますが,純粋な戦争の話ではなく,戦争の原因となった経済的要因に関する丁寧な説明も含まれており,総合的に社会と人を描こうとしている,と言えるでしょう。

読んで欲しい人

 組織やプロジェクトが危機的状況にあるというのに,何も分かってない上司や経営者に苦しめられた現場の管理職,と言うような立場の人なら,読んだら絶対に泣けます。逆に「戦艦大和かっこい〜,零戦は強い〜」と信じているミリタリー少年は読んでも心髄に触れることは無理でしょう。現実世界で組織の板挟みになって苦しんでから読んでください。


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作成:川俣 晶
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