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1/1200戦艦
ヴィットリオ・ヴェネト

キングジョージ5世

アイオワ

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左:ヴィットリオ・ヴェネト 右:アイオワ

 1997年4月29日アップデート
 ここは、川俣 晶の製作したプラスチックモデル、1/1200の戦艦 ヴィットリオ・ヴェネト、キングジョージ5世、アイオワについてのページです。

模型について

 ドイツのレベル社の製品を直輸入したもののようです。新宿のイエローサブマリンにて購入しました。縮尺は1/1200です。お手軽に組める小型キットで、出来は、あまり良くありません。ですが、凝りすぎのキットが多い日本では、かえって気楽で嬉しいところですね。
 並べて眺めて、あれこれ考えるために作ったものなので、塗装もしていないです。

ヴィットリオ・ヴェネト

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 あなたはイタリアの誇る戦艦ヴィットリオ・ヴェネトを知っているだろうか?
 軍縮条約明けの時代、つまり、戦艦大和などと同時代に建造された戦艦で、38センチ砲3連装3基9門を搭載する強力な戦艦である。日米の基準で考えると、やや非力に思えるかもしれない。だが、地中海に出現しうる仮想敵国、つまり、イギリスやフランスの戦艦の能力と比較すれば、十分過ぎる性能といえる。
 しかも、俗な言い方をするなら、すごくかっこいいのである。
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 こんなにもすごい戦艦なのに、実際には、ほとんど活躍していない。そのため、歴史にも名前が残っていない。マニアでも、名前を知らない者が多い。このギャップは、いったい、何なのだろうか。イタリアとは謎の国である。

キングジョージ5世

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 キングジョージ5世(以下KG5)は、ヴィットリオ・ヴェネトの直接的なライバルといえるイギリス戦艦である。KG5の同型艦には、プリンスオブウェールズがあり、日本ではこちらの方が有名だろう。もっとも、日本軍の航空機に撃沈された「やられ役」としてだが^^;
 ともかく、このKG5は、軍縮条約切れの時代に、七つの海に散らばる植民地を守るべく、大英帝国の威信をかけて、建造された最新鋭戦艦なのである。
 だが、かっこわるい、という印象を否定できない。小さな船体に詰め込みすぎ、という印象もある。また、2番砲塔だけ、2連装(ほかは4連装)というのも、バランスが悪い。これは、本来は4連装のはずが、装甲不足の問題から、重量軽減のために、2連装に設計変更されたそうで、やはり無理があったのは否定できない。
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 もともと、これを建造した当時のイギリスとしては、第1次大戦の傷跡が癒えきっておらず、戦艦のような金食い虫は作らず、国家の復興に全力を挙げたかったに違いない。しかし、ライバル国が、ぞくぞくと新型戦艦を作る以上、無理をしてでも、やらざるを得なかったのだろうと思う。
 KG5の建造時には、もはや、大英帝国支配の時代は終わっていた、ということなのだろう。
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アイオワ

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 勝者アメリカ合衆国が最後に建造したクラスの戦艦である。
 世界最大の戦艦は、日本の大和、武蔵であることは間違いない。では、アメリカに、それだけの戦艦を建造する能力が無かったのかと言えば、そんなことはない。このアイオワが、大和よりも小さい理由は、パナマ運河を通行可能でなければならない、という至上命題があったためである。
 とはいえ。世界最強という尺度で見た場合、大和とアイオワのどちらが上からは、いろいろ考える余地がある。つまり、大和の方が大きいとか、大和の主砲の方が口径が大きいという理由で、単純に大和が勝つとは言い切れないのである。
 具体的に大和の問題点としては、
  1. 速度が遅い(有利な位置を得にくい)
  2. 主砲の発射速度が遅い(一定時間内に送り込める砲弾数で大きく劣る)
  3. 主砲の初速が遅い(破壊力が減る)
  4. 副砲の装甲が薄い(直撃されると危険)
 などがある。
 逆にアイオワの方は、
  1. 速度が速い
  2. 主砲の発射速度が速い
  3. 主砲の初速が速い
  4. 要らない副砲など積んでいない
 と評価できる。
 もちろん、大和の主砲の方が射程が長い、といった特徴はあるのだが、命中率の低い長距離射撃では、有効な戦果を得にくいので、実際には、あまり役に立たない特徴だろう。また、主砲の破壊力については、それほど大きな差はないと言える。主砲口径は破壊力の絶対的な指標ではない。欧州の戦艦は、40センチにも満たない38センチ程度の口径の主砲を搭載している例が多い。それでも、十分な戦力として評価されていたのだから。一般的に砲身が長い砲の砲が、口径の大きな砲よりも、有利と言える。  これらを総合すれば、アイオワと大和の総合戦闘力は、ほぼ互角ではないかと思う。
 実際にどうなのか。それを証明する機会は永遠に失われた。
 とはいえ。戦後の復興期間、世界最大の戦艦を作った日本人は、けして負け犬ではない、という精神的な支えとして使われてきた大和である。大和がアイオワに負ける可能性など、けして認めたくない日本人も多いだろう。
 しかし、そろそろ真実を見据えるべき時代が来たと思う。大和や、大和モドキの戦艦が大活躍する下らない仮想戦記なんか読んでいる場合ではないと思うのだが……。 Picture
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作成:川俣 晶
電子メールアドレス/ autumn@piedey.co.jp