早名礼子は、松本零士のコミック作品「聖凡人伝」の登場人物です。
聖凡人伝について §
- 1971年~1973年に『漫画ゴラク』(日本文芸社)に連載された
- 全110エピソード
- 松本零士の代表的な「四畳半もの」の1つである。松本零士の代表的な「四畳半もの」は「男おいどん」「元祖大四畳半大物語」「聖凡人伝」の3作であるとされる
- 従って、主人公は眼鏡でチビのガニマタであり、ヒロインは線の細い松本美女である
- 四畳半のアパートが舞台であり、日本の現代(執筆当時)ものである。SFやファンタジー的な展開は存在しない
- 単行本は、出版社、装丁、収録内容が異なる5種類の異なる版が発行されている (詳しくは後述)
- 主人公は就職活動中の無職の男、出戻始(でもどりはじめ)である
- アパートの隣には、2号や妾しか住んでいない大マンションが存在し、ここも主要な舞台となる
- ヒロイン、早名玲子は大マンションのオーナーである
- アパートも大マンションも首つり自殺の名所であり、目を離すとすぐに誰かが首をつっている
- アパートと大マンションの前にはいつもおでんの屋台がいる (おでん屋もレギュラーの主要登場人物の1人である)
- アパートには管理人のおばさんがいる
- 主人公の部屋の隣には、セックスカウンセラーを名乗る小久保が住んでいて、生徒と称する人妻と性交を行って指導をしている
- 隣室との間には覗き穴があり、主人公や小久保が覗きに使用する
- 主人公が飼っているペットは、猫でもタヌキでもないとされる種類不詳の動物であり、自力で鳥を掴まえてくる
- アパートの面々と早名玲子は何かあるとすぐに宴会を行う。その際、早名玲子や管理人のおばさんが脱ぐことも珍しくない (特に、管理人のおばさんが脱ぐのは特異的かもしれない)
- ストーリーには基本的に終わりがなく、同じような日々もこの後も続いていくことがラストシーンで明示されている (永遠に繰り返される文化祭前日状態)
聖凡人伝は「聖凡人伝」によると、2009年現在、5種類の版が存在するようです。
No. | タイトル | 出版社 | シリーズ名 | 総巻数 |
---|
A | 聖凡人伝 | 日本文芸社 | 漫画ゴラクコミックス | 全1巻 |
B | 聖凡人伝 | 奇想天外社 | 奇想天外文庫 | 全10巻 |
C | 聖凡人伝 | 奇想天外社 | 奇想天外コミックス | 全9巻 |
D | 聖凡人伝 | 朝日ソノラマ | サンコミックス | 全4巻 |
E | 聖凡人伝 | 小学館 | 小学館文庫 | 全6巻 |
上記サイトによれば、全エピソードが収録されているのはCとEのみのようです。
極端に巻数の少ないAとDは途中までしか収録されていません。Bは、巻数的には最も多いのですが、いくつかのエピソードに収録抜けがあります。
EはCと比較して巻数が少なくなっていますが、1冊当たりの収録エピソード数が多いので、全エピソードを収録しているようです。
内容の充実度と入手しやすさから、本サイトではEをベースに調査と記述を行っています。
早名玲子について §
- 松本零士の描く典型的な線の細い美女
- 松本美女の中でも、特に性行為描写の多い女性キャラクター (ガンフロンティアのシヌノラと並んで双璧と思われる)
- 初期には登場せず、15エピソード目の「大マンションの女主人」で初登場する (それまでは「夜泣きする女 野田さん」「ゲイバーのママ 麻由子」などが準レギュラーで登場するが、基本的には固定されたヒロインは存在しない)
- 登場後は大多数のエピソードに登場して1人でヒロインの立場を貫徹する (ヒロインが交代していく「男おいどん」とは構造的に異なる)
- 放っておいてもお金が増えていくだけの資産を持っている (大マンションの他に会社もいくつか持っている)
- 問題を解決するために、後先を考えずに反射的に自分の肉体を性的に使用することが多く、しかもしばしば失敗する (知性に優れたタイプではない)
- 暴力団などと話を付けるために自分から1人で乗り込んでいくが、話がうまくまとまるとは限らず、身体で損害補填を強要されるケースもある (しかし、そのことにショックを受けたり深刻に受け止めたりはしていない)
- 結婚していた時がある (正規の婚姻か内縁の妻であるかは不明)
- 何回かお見合いがセッティングされている。うち少なくとも1回は福島で行われた
- 腹違いの姉がいる
- 母方の遠縁には資産家がいる
- 友達にバーのママがいる。性的な意味で身体を張って店に協力するほど親しい
- 多数の男性と継続的に肉体関係を持っていたが、作中の時間ではそれらの関係は切られる方向で進んでいた (思い出に最後の1回、といった登場の仕方が比較的多い)
- ただし、様々な理由から出戻始以外との男の性的関係の回数が減少したわけではない模様
- 初体験の相手は辻森さん(ニセ歯医者であると後年判明)。眠らせての強姦だった。しかし、その後も付き合いは続いていたらしい
- 初恋の相手は大会社KK社長。インチキ会社ばかり作るので愛想を尽かして分かれた
- 結婚していた時の相手からは、エロ写真でゆすられていた。大マンションは、この相手の設計により早名玲子の意図しない形で建設されたものであった
- 縛って犯すのが好きなSMマニアの男との関係も継続的に存在した
- 出戻始とは特に深い関係にあり、相思相愛にあるが、早名礼子自身、自分は結婚できる立場ではないと考えている
- 宴会等ではすぐ裸になる。裸になること。裸を他人に見せることに拒否的な描写は見られない。多少露出症のきらいがある、と自ら述べている
- レズの真似ができるようだが、本当のレズ行為ができるかは不詳。作中では、女性と1対1で愛し合う描写は存在しない (レズの真似は出戻始を含む3Pにおいて発生)
2009/04/24追記・恐竜荘物語について §
恐竜荘物語は準レギュラーの主要登場人物として大マンションのオーナーである早名礼子が登場します。この早名礼子についても、このサイトでは取り上げます。しかし、いくつかの設定が聖凡人伝と矛盾するため、恐竜荘物語は参考扱いとし、聖凡人伝の早名礼子の解釈には使用しないものとします。
恐竜荘物語は「恐竜荘物語」によると、2009年現在、1種類の版(装丁は2種類)が存在するようです。(本サイトでは初期の装丁版を使用しています)
No. | タイトル | 出版社 | シリーズ名 | 総巻数 |
---|
A | 竜荘物語 | 日本文芸社 | GORAKU COMICS | 全1巻 |
聖凡人伝との相違点等の恐竜荘物語に関する詳しい内容は「恐竜荘物語の早名礼子は同一人物か別人か?」を参照願います。