これまで、意図的に「紳士タタンダール」で見ないことにしてきた要素があります。それは、トチロー達を監視する日本人のくのいち、アヤメとサナエについてです。
本来の原則からすれば、このサイトはシヌノラについて扱うものであり、他の女性登場人物を扱わないのは正当です。しかし、アヤメとサナエの死に方には不審な点があり、それにシヌノラも絡んでいる可能性が考えられます。
以下、それについて書きます。
アヤメとサナエの死に関する疑問点 §
- アヤメとサナエの任務はトチローとハーロックの監視であって、シヌノラとタタンダールを追跡する理由がない。それにも関わらず、なぜタタンダールのところに行ったのか?
- アヤメとサナエは、自分たちの存在をトチロー達にはっきりと気付かせないほど巧妙に行動しているのに、なぜタタンダールは2人に気付いたのか?
- アヤメとサナエの遺体は、一人は全裸。一人は服が切り裂かれて肌の多くが露出している。2人はきちんと服を着てトチロー達と別れ、タタンダールに銃で撃たれて死んだのに、なぜ裸にされる必要があるのか?
- トチロー達が流されて陸に付いたまさにその場所に二人の遺体が放置され、その上にタタンダールとシヌノラがいるのが偶然にしては出来すぎではないか?
タタンダールは嘘をついている? §
タタンダールは、アヤメとサナエを、追ってきたトチロー達と誤認して殺したと主張しています。
しかし、これだけの疑問点があると、本当に単なる誤認なのか……という疑いが出てきます。
つまり、タタンダールは嘘をついているという前提から問題を分析する必要が出てきます。
もし、タタンダールは誤認ではなく意図的にアヤメとサナエを殺したとすれば、そこには殺す理由があったはずです。しかし、おそらく初対面の両者にそうそう簡単に「殺す理由」が生じるとも思えません。
ここで、アヤメとサナエの任務をトチローとハーロックの監視だけではなく、2人に関係する人物の調査も含まれると考えましょう。
すると、2人はタタンダールとシヌノラも調べる必要が生じます。
2人は、タタンダールとシヌノラの後を追い、そして2人の会話を盗み聞きしたことでしょう。
そこで、シヌノラが「聞かないで」とトチロー達に告げたタタンダールとの関係が分かるような会話が交わされ、アヤメとサナエがそれを聞いてしまったとしましょう。
ここで、タタンダールはアヤメとサナエを殺す必要性が発生するかもしれません。
殺す必要があるほどの男女関係とはいったい何でしょうか?
このサイトでは「タタンダールとシヌノラの関係・驚愕の父娘近親相姦説の根拠は何か?」で、近親相姦説を提示していますが、ここではそれが当たっているか否かは問題ではありません。ただ、とても他人には言えないことが関係が行われたという情報が漏れたことだけが問題なのです。
従って、それに気付いたタタンダールはアヤメとサナエを殺さねばなりません。更に殺した後で、彼女らの正体を探るために服をはぎ取る必要もあったのでしょう。
そして、タタンダールは「秘密の関係」について探られないために、「トチロー達と誤認した」という虚偽のシナリオを用意します。このシナリオを説得力のあるものにするためには、アヤメとサナエがトチロー達に先行していた……という状況を演出する必要があります。そこで、流されたトチロー達が流れ着く場所にアヤメとサナエの遺体を起き、あたかもトチロー達に先行してアヤメとサナエが来たかのように見せかけたわけです。
実は無理なく解釈できる §
以上の推理はおそらく間違いです。
実は、タタンダールは嘘をついていない……という前提でも疑問を全て説明できます。
まず、ハーロックはタタンダールの行き先を「たぶん町だ」と推定しています。
次に、アヤメとサナエは、大雨が降ることを予告し、「あなたたちも町へ行きなさい」と告げて立ち去ります。あなたたち「も」と言っているのは、自分たちも町へ行く意図の表明でしょう。
つまり、全員の出発点と目的地が一致しています。進むべき道も同じと考えられます。
そして大雨が来ます。
ここで、町はトチロー達の家の下流にあるという仮定を取ります。
町を目指すタタンダール達、アヤメとサナエは、後方から水に追われることになり、手近の正面に見える高台を目指すことになるでしょう。
この高台に先に到着するのはタタンダールとシヌノラです。豪雨の中、2人はそこから動けなくなります。その状況で、同じ場所にアヤメとサナエも到着します。
豪雨の中であるため、両者はかなり接近しなければ互いに相手を認識できなかったのでしょう。しかも、相手がいると分かっても、それが誰かは分からないでしょう。アヤメとサナエの遺体を見ると、片方の女性は刀を抜いていたように見えます。タタンダールはともかく誰かが刀を抜いたとだけ認識できたのでしょう。ここで、タタンダールが知る刀を使う者は、この近くにはトチローしかいません。つまり、片方が刀を使う2人組とはトチローとハーロックであると認識しても不思議ではないでしょう。
そして、そのまま咄嗟に射殺したのです。
アヤメとサナエの服をはいだのは、誤認射殺に気付いて、相手の正体を確認する必要に迫られたためでしょう。
更に、同じ場所にトチロー達が流れ着いたのも偶然ではありません。下流に向かって流されて最初に引っかかる高台はここしかないのです。
まとめ §
というわけで、この事例は裏を読まずとも発言が全て事実であると認めるだけで全て合理的に説明ができると考えます。