「馬はなぜシヌノラに欲情せず女医に欲情したのか? 「女医・サン・ダウナーズ」の謎を解く!!」で、馬はなぜシヌノラに欲情せず女医に欲情したのか?という謎を扱いましたが、その話題の続きです。
このエピソードにはもう1つ謎があることに気付きました。
- トチロー不在中に、シヌノラがハーロックにフェラチオしたことにトチローが気付いたとき、シヌノラはトチローに「ごめんね」という
- しかし、シヌノラがハーロックとだけ寝ている描写は多いのに、そのことを謝る描写は他には見られない
- しかも、トチローは「うん」とだけ答え、謝罪を平然と受け入れている
- なぜ、このときだけシヌノラは謝ったのか?
- なぜ、トチローは謝罪を当然のものとして受け入れたのか?
フェラチオは理由ではない §
この状況は、一見、シヌノラがハーロックにだけフェラチオしたことを謝っていて、謝罪としてトチローにもフェラチオをしたように見えます。
しかし、そのように解釈すると、普段からハーロックと寝ることが多いシヌノラがこのときだけ謝るのは不自然です。
つまり、別の理由によって謝っていると解釈した方が良さそうです。
はたして、何に対して謝っているのでしょうか?
「理不尽な格差への怒り」というテーマ §
このエピソードは、「理不尽な格差への怒り」というテーマに沿って解釈すると、全てが整合するということに気付いた、と「馬はなぜシヌノラに欲情せず女医に欲情したのか? 「女医・サン・ダウナーズ」の謎を解く!!」に書きました。
この状況も、この理由から考えると解釈できそうです。
つまり、「日本人 < 白人」という理不尽な格差において、白人のシヌノラは格差を強制する側であって、シヌノラはそのことに罪の意識が存在するわけです。
一方で、トチローは「馬 < 人間」という理不尽な格差を前に、人間の都合で馬を殺せないという優しさを発揮してしまいます。
格差を押しつけないトチローを前にして、シヌノラは格差を押しつけてしまった後ろめたさがあるので、「ごめんね」と言わざるを得ません。そして、自らを格下に置くフェラチオ奉仕という行為を通して、トチローの優しさを肯定し、トチローの痛みを癒さねばならなくなったわけです。
そして、そのような構造が見えているからこそ、トチローは謝罪とフェラチオ奉仕に対して、「うん」という肯定的な返事しかできず、しかも平然と受け入れることしかできないわけです。
エロクトには奉仕しないシヌノラ §
このように、トチローに対して奉仕する女になるシヌノラですが、エロクトに対してはそのような態度を示しません。エロクトは台にシヌノラを縛って犯していますが、これは縛ることがエロクトの趣味であることを示すと同時に、シヌノラが「縛らなければエロクトを受け入れない」女として振る舞ったことを示唆します。
つまり、「理不尽な格差」を強制しない(できない)トチローと向かい合った場合と、「理不尽な格差」によって強制を行うエロクトと向かい合った場合では、シヌノラ態度が違ったことが示唆されます。
感想 §
うーん、ガン・フロンティアは深く読めば読むほど面白い。
特に、「女医・サン・ダウナーズ」は最初に読んだときには、面白さがピンと来なかったので、なおさらです。