子供の頃、セクサロイドをドキドキしながら読んだことは間違いない。
夢中で最後まで読んだ記憶がある。
しかしながら、後から読み直すと、さしてドキドキはしない。むしろ、不完全燃焼という感じを受けてしまう。
なぜだろうか。
改めてセクサロイドを読み直して、どこが引っかかるのか良く分かった。
ガンフロンティアに存在するある要素が欠落しているのだ。
それは何か。
【NTR(寝取られ)感】である。
ユキ7号も、シヌノラも、拉致され、拘束され、裸にされ、性行為を強要されるところまでは同じである。
ところが、この先が同じではない。
シヌノラは、トチロー、ハーロック以外との性行為を完了してしまうことが多い。つまり、相手は射精してしまう。シヌノラの救出は、完了後であることが多い。
ところが、ユキ7号の場合、性行為が完了する前に相手が殺されるか救出されてしまうのである。つまり相手は射精しない。ユキ7号がセックスを完了する相手はたいていシマだけである。
つまり、ガンフロンティアは基本的にNTRが基本であるが、セクサロイドは和姦が基本である。セクサロイドで拉致、拘束、脱衣、強姦は回避されるべきイレギュラーな危機である。だが、ガンフロンティアでの拉致、拘束、脱衣、強姦は期待された見せ場である。
従って、ガンフロンティアの感覚で見せ場を期待してセクサロイドを読むと、自動的に肩すかしになってしまうのである。
このことは、男性主人公の性格付けを見ると、非常に良く分かる。シマは、基本的にユキ7号だけでなく、ゲストキャラの美女とも自由にセックスする美男ヒーロー的な存在だ。つまりユキ7号を独占した上で他の女にも手を出す。しかし、トチローとハーロック、特にトチローはセックスに不自由している立場であり、シヌノラはやらせてくれるが、独占はできない。
従って、男性読者の場合、シマに感情移入するか、トチローに感情移入するかで、セクサロイドとガンフロンティアのどちらが面白いかが決まる可能性がある。シマに感情移入した場合、女を支配する物語に親和性があり、トチローに感情移入した場合、女を称える物語に親和性があると考えられる。つまり、他の男も満たせるシヌノラの価値は大きいと言うわけであり、他の男とシヌノラがセックスすることは、シヌノラの価値の証明である。ちなみに、トチローは、シヌノラの身の安全を心配しているが、必ずしも他の男と寝ることを否定はしていない。
ユキ7号が他の男と寝たか心配しているシマとはそこが違う。
