2007年04月08日
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シヌノラの過去のプライベートを知る唯一の男・タタンダールの正体を考察する

Written By: オータム連絡先

タタンダール研究の重要性 §

 タタンダールは、たった1回「紳士タタンダール」に登場するだけの男ですが、シヌノラの過去を知る唯一の登場人物です。

 従って、シヌノラを研究する上で、シヌノラの過去を知るための手段としてのタタンダールの存在意義は極めて重要であると言えます。

 そこで、シヌノラに先立って、タタンダールについて研究してみましょう。

「紳士タタンダール」から読み取れる情報 §

 「紳士タタンダール」のエピソードから以下の情報が読み取れます

  • 無意識的に土地の善し悪しを評価している
  • トチローとハーロックをイエロー・インディアンと呼称する
  • バロン(男爵)を名乗る
  • 名前はドニョール F タタンダール
  • 38歳らしい
  • フランス系のように見える名前
  • 強制することなくシヌノラからフェラチオしてもらうことができる
  • シヌノラのフェラチオが上手くなったと論評できる
  • 「シヌノラを帰してもらう」と述べ、過去のシヌノラは自分のところにいたことを示唆する
  • サーベルと拳銃の腕に自信がある。コンチネンタルスタイル(=ヨーロッパ風のスタイル)だといい、サーベルは北フランス貴族の正当な剣筋と主張
  • シヌノラがいなければ独りぼっちであるという
  • ニューヨークの不動産屋を名乗る
  • ニューヨークに帰ると発言する

 更に、ガンフロンティアの作品年代推定から得られた1873年~1880年という年代推定と、それがフランス第三共和政の時代であるという歴史的状況から、以下の点を補足的に補うことができます。

  • 既にフランスに貴族という階級は存在しない
  • 貴族という階級の消失が起きたフランス革命(1789年~1794年)から、100年に近い期間が経過している

矛盾点 §

 これらの情報から、いくつもの矛盾点を指摘できます。

  • 既にフランス貴族が消滅して100年も経つのにフランス貴族を名乗る
  • 既にフランス貴族は存在しないはずなのに北フランス貴族の正当な剣筋を継承している
  • フランス貴族であるのに帰る先がニューヨークである
  • フランス貴族であるのに不動産屋であると名乗り、事実として不動産屋のように無意識的に土地の善し悪しを評価している
  • 組織のエージェントではないにもかかわらず、トチローとハーロックがインディアンとは別の人種であることを知っている (注: インディアンと誤った名称で呼ばれていたネイティブ・アメリカンは、「黄色」ではなく「赤」と認識されていたので、イエロー・インディアンという呼称を使用したことは別の人種という認識を明確に持っていたことを示す)

亡命貴族という概念 §

 「既にフランス貴族が消滅して100年も経つのにフランス貴族を名乗る」「フランス貴族であるのに帰る先がニューヨークである」という2点は、亡命貴族 (Emigres)という概念を持ち出すと、矛盾無く解釈可能のようです。

亡命貴族 Emigresより

フランス革命が起こるとさっさと国外に脱出した貴族。自分達の特権を取り戻すために、王政の復活を心から願う。彼らは革命を失敗させようとして、国内の革命反対派と手を結び、いろいろな裏工作をしていた。

フランス革命と亡命貴族より

亡命した貴族のなかの経済状態は様々でお金持ちは主にアメリカへ移住しましたが、大半の貴族は渡航費用がなく、行き場もなく借金で身を崩し、商業に手を出して失敗する人、良家の子弟子女の家庭教師や、文筆業、他国の軍隊への任官、はたまた中には娼婦になったものもいたようです。

 従って、フランス貴族がアメリカに亡命し、そのままアメリカに住み続けていたという状況はあり得そうです。

タタンダール家の3つの顔 §

 アメリカに亡命したのはお金持ちの貴族のみ……という記述が正しければ、タタンダール家は裕福であった考えられます。裕福であるというのは領地経営のセンスがある、つまり商才があるということでしょう。

 アメリカに亡命したタタンダール家には、既に領地はありません。しかし、商才を活かして商売を始め、成功した可能性は十分に考えられるでしょう。

 つまり、タタンダール家がニューヨークの不動産屋として成功したとしても不思議ではありません。

 つまり、フランスの亡命貴族である状態と、ニューヨークの不動産屋であることは矛盾なく両立します。

 また、様々な裏工作を行っていたという記述にも着目することにしましょう。不動産業で儲けた金を、共和政府の転覆のために提供していた可能性もあり得ます。

 つまり、タタンダール家には3つの顔があり得ます。

  • フランスの亡命貴族
  • ニューヨークの不動産屋
  • フランスの共和政府の転覆(王政の復活)を企む裏工作の資金源

「組織」と亡命貴族 §

 残った問題は、これだけではタタンダール家とシヌノラが属した「組織」との関係が見えないことです。

 これは、少しだけ想像力を働かせて補完しましょう。

 そもそも「組織」とは何でしょうか?

 ゴースト・ウェスターナーを極秘裏に殲滅するために活動する政府系の秘密組織らしいことは、作中で示されています。

 しかし、あちこちにエージェントがいることから、ゴースト・ウェスターナーの殲滅だけのための組織とは思えません。おそらく、様々な非合法活動を行うための組織というのが本来の立場であって、ゴースト・ウェスターナーの殲滅は業務の1つに過ぎないのでしょう。

 では、他にはどのような任務があり得るでしょうか?

 おそらく、国内外で、アメリカの国益のための様々な任務があり得るでしょう。

 さて、フランスの共和政府の転覆(王政の復活)はアメリカの国益になるでしょうか?

 実は、アメリカは独立する際に王政フランスの支援を受けています。そういう意味で、王政フランスはアメリカの恩人です。もし、亡命貴族達が、「独立の時に助けてやったのだから、今度は協力してくれ」と主張したら断り切れない可能性もあり得ます。

 しかし、公然と他国の内政には干渉できないでしょう。

 とすれば、秘密組織を使うしかありません。

 つまり、シヌノラが属した「組織」は、反共和制活動の支援という任務も持っていた可能性が出てきます。

 ここで、亡命貴族と「組織」は深い協力関係持つに至ったとしても不思議ではないと判断しましょう。実際、亡命貴族達の人脈やネームバリューの大きさは、組織による国外での様々な活動の助けになるでしょう。亡命貴族達は組織に協力しつつ、同時に反共和制活動を支援してもらっていた……と考えることはできます。

 つまり、タタンダール家は組織の秘密情報を知ることができる立場にあり、必然的にタタンダールはシヌノラの任務の対象がインディアンとは別の人種であることも知ることができたと解釈できます。

タタンダール本人の立場 §

 亡命貴族という立場は、裏付けが存在しないため、時間が経過すると存在意義が衰退していきます。フランス革命から約100年経過した状況では、亡命貴族の存在意義も革命直後とは様変わりしていることでしょう。

 従って、タタンダール本人の立場は、亡命貴族やタタンダール家の立場とは別個に検討する価値があります。

亡命貴族の世代 §

 亡命貴族には以下の3つ(または4つ)の世代が存在すると考えられます。

  • 亡命貴族第1世代 実際にフランスでの貴族生活の体験のある世代
  • 亡命貴族第2世代 亡命先で生まれ、フランスでの生活体験はない世代
  • 亡命貴族第3世代 亡命貴族第1世代からの薫陶を受けることができた最後の世代
  • (亡命貴族第4世代 身近にフランスでの生活の体験者が既に残っていない世代)

 タタンダールは、フランス革命の約100年後に38歳であることから、亡命貴族第3世代と考えるのが妥当でしょう。

「北フランス貴族の正当な剣筋」の意味 §

 タタンダールは「北フランス貴族の正当な剣筋」を持つと主張します。

 しかし、タタンダールは亡命貴族第3世代であり、フランスで正当な剣の修行を行う機会はありません。

 必然的に、「フランスで正当な剣の修行を行った」経験者から伝授されたと考えられます。これは、亡命貴族第1世代と見るのが妥当でしょう。

 しかし、なぜタタンダールはサーベルと拳銃の戦闘術を身に着ける必要があったのでしょうか? 資金を裏工作に流すだけなら、戦闘術は不要であるはずです。更に言えば、単純に敵を倒すだけなら、正当な剣筋よりも効率の良い方法がいくらでもあります。それにも関わらず、なぜ正当な剣筋を会得する必要があったのでしょうか?

 「正当な剣筋」は、見られることによって初めて意味を持ちます。「北フランス貴族の正当な剣筋」を見せるということは、タタンダールが本物の貴族であるという証明になるわけです。

 ということは、タタンダールの剣は、見せるためのものだったと考えられます。では、どこで見せるべきものなのでしょうか? 

 おそらく、将来起こるであろうと予測される王政復古の戦いの場なのでしょう。そこで、タタンダールは軍の先頭に立ち、「北フランス貴族の正当な剣筋」によって自らの正当性を強調しつつ、各方面の支持を獲得すべき立場だったのでしょう。

 このような立場は、本来なら亡命貴族第1世代が担うはずだったものです。しかし、亡命貴族第1世代の寿命が尽きつつある状況では、その時点での子供ないし若者である亡命貴族第3世代に託すしか無かったと言えます。

「王政復古の戦いの場」は本当にあり得るか? §

 しかし、フランス革命から約100年も経った状況で、「王政復古の戦いの場」などというものが訪れる可能性は限りなくゼロに近くなっていたと言えます。フランスでは共和制と帝政が入れ替わりつつ、途中で復古王政があっても長続きせず、もはや亡命貴族第1世代が夢見た「王政復古の戦い」など、あるはずもない夢想でしかなかったのでしょう。

 それにも関わらず、タタンダールはその夢を全身に託されてしまった存在なのです。

 実質はただのニューヨークの不動産屋でしかないのに、フランス貴族のような格好をして、フランス貴族のように署名を行い続けて38歳にまでなってしまいました。

 そして、必然的に彼は孤独な存在となります。亡命貴族達の子孫達は、それぞれタタンダールとは異なる別個の役割を与えられていたと考えるのが妥当でしょう。また、100年の間に亡命貴族をやめて平民になってしまった者達も多いでしょう。しかし、タタンダールのような立場の者は、自分の立場をうやむやのまま終わらせることができません。ファッションや剣筋は外部からよく見えるので、捨てれば一目瞭然だからです。

 そのため、タタンダールだけは、託された非現実的な夢の担い手であり続けねばなりません。それは孤独な立場でしょう。

 シヌノラがいなければ独りぼっちであるという発言がそのような意味から発せられたのであれば、おそらくタタンダールの立場を共有する人間は(シヌノラを除けば)、既に誰も残っていないのでしょう。

 (ではシヌノラの立場とは?という問い掛けは別途書きます)

結論・タタンダールとは §

 フランス革命においてアメリカに亡命した貴族の第3世代であり、亡命第1世代から「北フランス貴族の正当な剣筋」を伝授された者と推測されます。

 しかし、既に王政の復古は非現実的であり、アメリカにあってフランス貴族としての立場を守り続ける人物は他におらず、孤独な存在であったと推測されます。

 実際の職業はニューヨークの不動産屋であり、それによって生計を立てていたと考えられます。

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