シヌノラは突出した美女です。
カテリーヌは、失神した全裸の肉体をつぶさに観察して「でも 全身まんべんなくお見事ね シヌノラ」とまで言います。
(このシーンは、カテリーナがシヌノラを視姦しているように見えて、実際にはシヌノラが自分の身体をカテリーナに見せつけていると言えます)
つまり、シヌノラは欠陥のない理想の身体の持ち主です。
このような理想の女性がそう簡単に生まれてくるでしょうか?
しかも、そのような女性が犯されることに寛容な淫らな性格とは、都合が良すぎるのではないでしょうか?
これは、フィクション上のご都合主義でしょうか?
そうとも言い切れない §
「タタンダールとシヌノラの関係・驚愕の父娘近親相姦説の根拠は何か?」等で出した、「シヌノラ=フランス亡命貴族第4世代」説が正しいとすれば、あながちご都合主義とばかりは言えないことになります。
なぜかといえば、美しい娘を選択的に娶るケースの多い貴族は、美女の遺伝子が蓄積されて行き、美女の娘を得る確率が一般よりも高いと考えられるからです。もちろん、必ず美女になるとは言えません。政略結婚などで、美しくない娘を娶ることもあるでしょう。それでも、一般と比較すれば美女が生まれる可能性は高く、そこで生まれる美女は一般と比較してより完璧に近い美女となるでしょう。
更に、素材の良さを磨く環境も優れています。亡命しているとはいえ貴族の娘として裕福な家で育てば、身体そのものをより充実したバランスの良い形に育て上げていくことができるでしょう。
シヌノラとは、そういう世界からやってきた女性だと考えれば、カテリーナ程度の田舎娘が「全身まんべんなくお見事」と賞賛するしかない完璧な女体を得ていることも自然に思えます。
だが、淫らさはどうだ? §
もし、裕福な上流階級ほど性的に乱れている……と考えるなら、シヌノラが淫らであることは自然な成り行きとして受け入れられます。
また、異民族を寛容に受け入れるフランスの文化的な土壌 (実際にはそうではない側面もあるにせよ) で育ったとすれば、シヌノラが黄色人種であるトチロー達を差別せず受け入れることも納得できます。
もう1つ付け加えるなら、「酷いことをされても相手を許す寛容な精神」は、貴族の女性が持つべき美徳として教育された……という可能性があり得るかもしれません。もちろん、貴族の娘への教育に、「犯されても相手を許す寛容な精神」は無いでしょう。それは、あってはならないことです。しかし、身体に染みついた寛容の心が、「犯される」という状況にまで無意識的に拡大されることは、あり得るかもしれません。
以上のように考えると、「シヌノラ=フランス亡命貴族第4世代」説を仮に肯定するなら、必ずしもシヌノラはご都合主義的なあり得ないキャラクターとまでは言えないことになります。