ある意味で、非常に意味が分かりにくいシヌノラの台詞です。
これは「ガンフロンティアへの出発」でのシヌノラの台詞です。
質屋のオヤジに対して全裸になってシヌノラが裸を見せたことに対する台詞です。
言葉としてはどうか §
漢字を補えば「裸にも照れたな」でしょう。
この言葉には以下に分割できます。
「裸」全裸である。
「にも」他にもあった。
「照れた」照れがあった。
「な」推定の含む男言葉の語尾である。
これは男言葉なのか? §
実は、「そうね」と言っているのはハーロックです。これは女言葉です。これと対比する形で、ちらりとシヌノラの持つ男性性を見せています。
主語は誰か §
実は、こう解釈してもまだ不足です。
主語が無いからです。
そもそも、照れたのは誰でしょう?
実は、「シヌノラが照れた」と「質屋の主人が照れた」という2つの解釈があり得ます。その場にはその2人しかいないからです。
常識的には、女であるシヌノラが脱ぐことに「照れがある」と考えられます。
しかし、そもそも本当に恥ずかしがって裸を見せた女がそんなことを他人に言うはずがありません。
シヌノラが「見ることも見られることも好きな視姦好きの女」とすれば、実は照れたのは質屋の方だと言えます。
とすれば、「にも」のニュアンスも分かります。
おそらく、主人の「やらせてくれ」と頼んだ行為が照れていたのでしょう。シヌノラは「やらせていない」わけですから、シヌノラ側には「にも」に当たる行為がありません。あるのは、頼んだ主人の方です。その意味でも、照れたのは主人の方だろうと推測できます。
そして、男の行動を表現するので、推定の含む男言葉の語尾でくくられることも自然に読むことができます。同時に、銃を持って男性的に主導権を取る女であることも分かります。